現代小説
戦後〜現代:村上春樹、東野圭吾、宮部みゆき等
潮騒
三島由紀夫 / 1954年
三重県鳥羽市の神島を舞台に、若い漁師と海女の娘の純愛を描いた青春小説。島の自然と素朴な人々の暮らしが生き生きと描かれている。
金閣寺
三島由紀夫 / 1956年
美への執着から金閣寺に放火した学僧の内面を描いた三島文学の最高峰。京都・鹿苑寺の黄金の楼閣が主人公の美意識と狂気の象徴となる。
迷路
野上弥生子 / 1956年
大正から昭和にかけての知識人の苦悩を描いた大河小説。大分県臼杵出身の野上弥生子が、故郷の城下町の記憶を作品に織り込んでいる。
天平の甍
井上靖 / 1957年
奈良時代、唐から鑑真を日本に招くため渡海した留学僧たちの苦難を描く歴史小説。唐招提寺をはじめ奈良の古寺が物語の到達点。
おはん
宇野千代 / 1957年
山口県岩国を舞台に、一人の男をめぐる二人の女性の情念と哀しみを描いた名作。錦帯橋のかかる錦川のほとり、岩国の城下町の風情が物語の背景となっている。
笛吹川
深沢七郎 / 1958年
甲斐国の笛吹川のほとりに暮らす農民一族の数世代にわたる生と死を描いた大河小説。武田信玄の時代から戦国の動乱に翻弄される民衆の姿が、山梨の風土とともに描かれる。
点と線
松本清張 / 1958年
博多駅のホームで目撃された男女の姿から始まる社会派推理小説の金字塔。時刻表トリックを駆使した緻密な構成で、戦後日本の社会派ミステリーの原点となった。
紀ノ川
有吉佐和子 / 1959年
紀ノ川流域の旧家の三代の女たちの生き方を描いた大河小説。和歌山の紀ノ川と紀州の風土が、女性たちの強さと美しさの背景となっている。
砂の器
松本清張 / 1961年
東京の操車場で発見された他殺体の捜査が、東北訛りの手がかりから出雲地方へと展開する社会派推理小説の傑作。宿命と差別の問題を深く描く。
砂の女
安部公房 / 1962年
昆虫採集に出かけた男が砂丘の穴の底にある一軒家に閉じ込められる不条理小説。砂丘の風景は鳥取砂丘をモデルとし、存在の根源を問う前衛的傑作。
古都
川端康成 / 1962年
京都の呉服問屋の娘・千重子と、北山杉の里で育った双子の姉妹の物語。祇園祭や時代祭など京都の四季と伝統行事が美しく描かれるノーベル賞受賞作。
秀吉と利休
野上弥生子 / 1964年
豊臣秀吉と千利休の対立を描いた歴史小説。大分県臼杵出身の野上弥生子が、権力と芸術の相克を重厚に描き出した晩年の力作。
黒部の太陽
木本正次 / 1964年
黒部ダム建設に挑んだ男たちの壮絶な闘いを描いた記録文学。北アルプスの厳しい自然と人間の意志の力がぶつかり合う一大叙事詩。
黒い雨
井伏鱒二 / 1966年
広島への原爆投下とその後の被爆者の苦しみを、黒い雨を浴びた姪の日記を通じて静かに描いた反戦小説。福山出身の井伏が広島の悲劇を後世に伝える。
火垂るの墓
野坂昭如 / 1967年
神戸空襲で母を失った兄妹が防空壕で懸命に生きようとする戦争文学の傑作。神戸・御影から西宮にかけての阪神間が舞台で、アニメ映画でも広く知られる。
青春の門
五木寛之 / 1970年
筑豊の炭鉱町で育った青年・伊吹信介の青春と放浪を描いた大河小説。福岡県の筑豊炭田の荒々しい風景と、そこに生きる人々のエネルギーが描かれる。
星と祭
井上靖 / 1972年
琵琶湖周辺を舞台に、娘を失った父親が湖国の仏像を巡りながら再生していく物語。近江の寺々と琵琶湖の風景が心の旅路と重なる。
天璋院篤姫
宮尾登美子 / 1984年
薩摩藩の分家に生まれ、徳川十三代将軍家定の正室となった篤姫の波乱の生涯を描いた歴史小説。幕末の激動を生き抜いた女性の強さと気品が描かれる。
ノルウェイの森
村上春樹 / 1987年
1960年代末の東京を舞台に、主人公ワタナベが二人の女性との間で揺れ動く恋愛と喪失の物語。新宿・四ツ谷・早稲田周辺が主な舞台。
蓮如
五木寛之 / 1994年
浄土真宗中興の祖・蓮如の波乱に満ちた生涯を描いた歴史長編。北陸・吉崎御坊を拠点に布教に生きた蓮如と越前の風土が壮大に描かれる。
長崎ぶらぶら節
なかにし礼 / 1999年
明治から昭和にかけての長崎の花街を舞台に、芸者・愛八と学者・古賀十二郎の交流を描いた歴史小説。丸山遊廓や出島など長崎の異国情緒が色濃く描かれる。
世界の中心で、愛をさけぶ
片山恭一 / 2001年
白血病で亡くなった恋人との純愛を描いた大ベストセラー。映画版のロケ地・香川県庵治町や愛媛県宇和島市が聖地として知られる。
博士の愛した数式
小川洋子 / 2003年
80分しか記憶が持たない数学博士と家政婦親子の心温まる交流を描いた名作。阪神タイガースと甲子園球場が物語の重要なモチーフとなっている。
眉山
さだまさし / 2004年
徳島市のシンボル・眉山を背景に、母と娘の絆と阿波踊りの夜を描いた感動作。吉野川流域の風景と阿波の伝統文化が物語を彩る。
夜のピクニック
恩田陸 / 2004年
高校最後の行事「歩行祭」で80キロを歩き通す一夜を描いた青春小説。茨城県の水戸周辺の風景の中、歩きながら交わされる対話が青春の輝きを映し出す。
半沢直樹シリーズ
池井戸潤 / 2004年
「やられたらやり返す、倍返しだ!」で社会現象となった銀行小説。大阪・中之島のメガバンク支店を舞台に、不正と戦うバンカーの痛快な逆転劇が描かれる。
永遠の0
百田尚樹 / 2006年
太平洋戦争で特攻隊員として散った祖父の真実を孫が追う感動作。鹿児島の知覧特攻平和会館をはじめ、各地の戦争遺跡が物語の舞台となる。
夜は短し歩けよ乙女
森見登美彦 / 2006年
京都の夜を舞台にした奇想天外な恋愛ファンタジー。木屋町・先斗町の飲み屋街や下鴨神社の古本市、京大周辺が幻想的に描かれる。
有頂天家族
森見登美彦 / 2007年
京都を舞台に、狸の名門・下鴨家の兄弟が天狗や人間と織りなす騒動を描いたファンタジー。下鴨神社の糺の森や出町柳が物語の中心地。
テンペスト
池上永一 / 2008年
琉球王国末期、男装して科挙に挑む聡明な女性・真鶴の波乱に満ちた生涯を描いた歴史ロマン。首里城を中心とした琉球の文化と風景が壮大に展開される。
告白
湊かなえ / 2008年
娘を殺された女性教師の衝撃的な告白から始まるイヤミス(嫌な気持ちになるミステリー)の傑作。大阪の中学校を舞台に、複数の視点から事件の真相が明かされる。
阪急電車
有川浩 / 2008年
阪急今津線の各駅を舞台に、乗客たちの人生が交差する連作短編集。宝塚から西宮北口まで、電車の中で生まれる小さな奇跡と人間模様が温かく描かれる。
おくりびと
小山薫堂 / 2008年
チェロ奏者から納棺師に転身した主人公の成長を描いた物語。山形県庄内地方の四季折々の風景と、死を通じて生を見つめ直す感動作。
天地明察
冲方丁 / 2009年
江戸時代の天文学者・渋川春海が日本独自の暦を完成させるまでの奮闘を描いた歴史小説。渋谷の金王八幡宮や各地の天文観測地が舞台。
下町ロケット
池井戸潤 / 2010年
大田区の町工場がロケットエンジンのバルブシステム開発に挑む直木賞受賞作。東京・大田区の下町工場街が「ものづくり」の誇りとともに描かれる。
舟を編む
三浦しをん / 2011年
辞書編集部の青年が新しい辞書づくりに情熱を注ぐ物語。神楽坂周辺の出版社街が舞台で、言葉への愛と辞書編纂の地道な作業が丁寧に描かれる。
ビブリア古書堂の事件手帖
三上延 / 2011年
北鎌倉の古書店を舞台にしたビブリオミステリー。古書にまつわる謎を美しき店主が解き明かす。北鎌倉駅周辺の古都の風情が物語の背景となる。
海賊とよばれた男
百田尚樹 / 2012年
出光興産の創業者・出光佐三をモデルに、日本の石油産業の礎を築いた男の生涯を描いた歴史小説。神戸港や門司港が物語の重要な舞台となる。
鹿の王
上橋菜穂子 / 2014年
謎の疫病に立ち向かう戦士と医術師の物語。奈良の鹿と自然がインスピレーションの源で、本屋大賞受賞作。古都奈良の風景が作品世界の原風景にある。
ぼくは明日、昨日のきみとデートする
七月隆文 / 2014年
京都を舞台にした切ないタイムパラドックス恋愛小説。叡山電鉄や鴨川沿いの風景が、二人の不思議な恋の舞台として美しく描かれる。
蜜蜂と遠雷
恩田陸 / 2016年
国際ピアノコンクールに挑む四人の若き才能を描いた直木賞・本屋大賞W受賞作。浜松のアクトシティがコンクール会場のモデルとなっている。
コンビニ人間
村田沙耶香 / 2016年
コンビニのアルバイトに生きがいを見出す女性の物語。芥川賞受賞作で、現代社会の「普通」とは何かを問いかける。東京の日常風景が舞台。
かがみの孤城
辻村深月 / 2017年
不登校の中学生たちが鏡の中の城に集められるファンタジー。本屋大賞受賞作で、東京都府中市周辺が舞台のモデルとされている。
国宝
吉田修一 / 2018年
長崎のヤクザの息子が歌舞伎の世界で「国宝」と呼ばれるまでの壮絶な人生を描いた大作。長崎の中華街やグラバー園が物語の出発点となる。
流浪の月
凪良ゆう / 2019年
世間の「常識」に縛られた二人の男女の関係を描いた本屋大賞受賞作。井の頭公園や吉祥寺周辺の風景が、主人公たちの再会の舞台となる。
汝、星のごとく
凪良ゆう / 2022年
瀬戸内海の島で出会った男女の、17年にわたる愛と人生を描いた本屋大賞受賞作。広島県因島の穏やかな風景と都会の対比が物語の軸となる。
成瀬は天下を取りにいく
宮島未奈 / 2023年
滋賀県大津市膳所を舞台に、我が道を行く少女・成瀬あかりの痛快な青春物語。本屋大賞受賞作で、琵琶湖畔の日常風景が生き生きと描かれる。
ひめゆりの塔
石野径一郎 / 1949年
沖縄戦で看護要員として動員され犠牲となったひめゆり学徒隊の悲劇を描いた戦争文学。糸満市のひめゆりの塔が慰霊の場として知られる。
海辺のカフカ
村上春樹 / 2002年
15歳の少年カフカが家出して四国の図書館に辿り着く物語。高松市の甲村記念図書館(架空)のモデルとされる場所が香川県に存在する。
キッチン
吉本ばなな / 1988年
祖母を亡くした少女みかげが、友人の家のキッチンに救いを見出す物語。下北沢周辺の東京の日常風景が温かく描かれる。
センセイの鞄
川上弘美 / 2001年
居酒屋で再会した元教師と教え子の淡い恋を描いた谷崎潤一郎賞受賞作。吉祥寺の居酒屋や井の頭公園周辺の風景が物語を彩る。
模倣犯
宮部みゆき / 2001年
隅田川沿いの公園で発見された遺体から始まる連続殺人事件。大川端の下町風景が、犯罪と市井の人々の暮らしの対比を際立たせる。
容疑者Xの献身
東野圭吾 / 2005年
天才数学者が隣人の母娘を守るため完全犯罪を企てるミステリー。隅田川・新大橋周辺と帝都大学(東京工業大学がモデル)が主な舞台。
白夜行
東野圭吾 / 1999年
大阪の質屋殺人事件から始まる壮大なミステリ。二人の男女の20年にわたる暗い絆を描く。通天閣周辺の下町風景や大阪の街並みが物語の重要な舞台。
ナミヤ雑貨店の奇蹟
東野圭吾 / 2012年
時空を超えた手紙のやりとりが繰り広げられるファンタジーミステリ。昭和の雰囲気が残る商店街が舞台で、大分県豊後高田市の「昭和の町」がモデルとされる。
火車
宮部みゆき / 1992年
多重債務に苦しむ女性の失踪事件を追うミステリ。バブル崩壊後の日本社会の闇を描いた社会派推理小説の傑作。山本周五郎賞受賞作。
十角館の殺人
綾辻行人 / 1987年
孤島の十角形の館で起きる連続殺人事件。新本格ミステリの記念碑的作品で、衝撃的などんでん返しは日本ミステリ史上屈指。角島(山口県/長崎県)がモデル候補とされる。
悪人
吉田修一 / 2007年
長崎と福岡を舞台にした恋愛ミステリ。三瀬峠での殺人事件を軸に、現代社会の孤独と愛を描く。映画版は妻夫木聡・深津絵里主演で各映画賞を総なめ。
横道世之介
吉田修一 / 2009年
長崎から上京した青年の大学生活を描く青春小説。1980年代の東京と長崎の街が生き生きと描写される。直木賞候補作で、映画化もされた人気作。
八日目の蝉
角田光代 / 2007年
誘拐犯の女と、連れ去られた赤ん坊の逃亡劇。小豆島での生活が作品の核心部分を構成し、島の美しい風景と逃亡者の切なさが対比的に描かれる。
楽園のカンヴァス
原田マハ / 2012年
アンリ・ルソーの絵画をめぐる美術ミステリ。倉敷の大原美術館が重要な舞台として登場し、美術と文学の融合が鮮やかに描かれる。山本周五郎賞受賞作。
まほろ駅前多田便利軒
三浦しをん / 2006年
東京都町田市をモデルにした「まほろ市」を舞台にした便利屋の物語。郊外都市の日常と人間模様をユーモラスに描く。直木賞受賞作で、映画・ドラマ化もされた。
図書館戦争
有川浩 / 2006年
検閲から本を守るために武装した図書隊が戦う近未来SF。十日町情報館がモデルとされる図書館建築も注目を集めた。映画・アニメ化された大人気シリーズ。
鹿男あをによし
万城目学 / 2007年
奈良を舞台にした不思議な物語。鹿に話しかけられた教師が日本を救う使命を帯びる。奈良公園や東大寺など奈良の名所が幻想的に描かれる。ドラマ化もされた人気作。
鴨川ホルモー
万城目学 / 2006年
京都大学の学生が小さな鬼を操って戦う奇想天外な青春ファンタジー。京都大学、下鴨神社、出町柳など京都の名所が舞台。万城目学のデビュー作。
四畳半神話大系
森見登美彦 / 2005年
京都大学の学生が「薔薇色のキャンパスライフ」を求めて平行世界を巡る青春小説。京大周辺の下鴨・百万遍エリアが舞台で、アニメ化も大ヒット。
赤ひげ診療譚
山本周五郎 / 1958年
江戸・小石川養生所を舞台に、赤ひげ先生こと新出去定の医療と人間愛を描く。黒澤明監督の映画「赤ひげ」の原作としても有名。小石川が物語の中心舞台。
兎の眼
灰谷健次郎 / 1974年
神戸市の小学校を舞台にした児童文学の傑作。ハエを飼う少年と新米教師の交流を通じて、教育の本質と子どもの心の世界を描く。200万部を超えるベストセラー。