安部公房 / 1962年
昆虫採集に出かけた男が砂丘の穴の底にある一軒家に閉じ込められる不条理小説。砂丘の風景は鳥取砂丘をモデルとし、存在の根源を問う前衛的傑作。
映画化
「砂の女」映画版
砂丘は絶えず風に吹かれて、その姿を変えていた。
砂は、しずかに、しかし確実に、すべてのものを埋めつくしていく。
穴の底から見上げる空は、手の届かぬほど高く、青かった。
砂の壁にかこまれた、穴の底の一軒家に、男は閉じこめられてしまった。
砂は、たえまなく動いている。風が止まっても、砂は自分の重さで崩れはじめる。