宇野千代 / 1957年
山口県岩国を舞台に、一人の男をめぐる二人の女性の情念と哀しみを描いた名作。錦帯橋のかかる錦川のほとり、岩国の城下町の風情が物語の背景となっている。
映画化
「おはん」映画版
錦帯橋の上から見る錦川の水は、底まで澄んで美しかった。
岩国の町は、錦川に沿うて、静かに眠っていた。
城山の上から見渡す城下町は、夕暮れの靄に包まれていた。
錦帯橋の下を流れる錦川の水は、いつの時代も同じように澄んでいた。
岩国という土地の持つ、しっとりとした風情が、私の文学の根底にあります。