太宰治 / 1939年
御坂峠の天下茶屋に滞在した太宰治が、富士山と向き合いながら綴った短編。「富士には月見草がよく似合う」の名句で知られる。
富士には月見草がよく似合う。
富士山は、よそよそしくて、つまらぬ山だと思っていた。しかし、見ているうちに、なんだか気の毒になって来た。
富士には月見草がよく似合ふ。
私は、よそ目には何のことなく富士を見てゐたが、富士を一目見て、よかつた、と思つた。
富士山、よいお山。