司馬遼太郎 / 1968年
薩摩に連行された朝鮮陶工の末裔が、400年を経てなお故郷を忘れず陶芸を守り続ける姿を描いた短編。鹿児島・苗代川(美山)の薩摩焼の里が舞台。
故郷忘じがたく候。四百年を経てなお、この地の人々は故国の山河を忘れていなかった。
轆轤を回す手は、四百年前の故郷の土をこねる手と変わらぬ。
桜島の煙が空に立ちのぼり、錦江湾の水面を風が渡っていった。
暮色の中に浮かぶ桜島の稜線は、故郷という言葉の全てを語っていた。